キョウチクトウ(夾竹桃)とは、庭園用の樹木並びに有毒植物の一種である。 [添付] 画像出典:東京都千代田区四ツ谷にて撮影 科名:キョウチクトウ科キョウチクトウ属 学名:Nerium indicum 原産地:インド~地中海沿岸 生態:常緑低木 インドや地中海沿岸が原産の常緑低木で、わが国には江戸時代に渡来し、現在は庭木として栽培されるほか、高速道路の植え込みなどによく使われる。 葉は幅の狭い細みの楕円形で、表面はつやのある革状で、長さは6cmから18cmになり、3輪生する。 葉腋の枝先にモモの花を大きくしたような5枚の細い楕円形の花弁をもつ花を咲かせる。和名の「夾竹桃」はここからきている。花は甘い芳香を放つ。花の色は紅色や薄いピンク色、白色など多彩で、赤色系統の品種は多く流通しているが、白い花の品種は赤色系統の品種よりやや流通が少ない。花の後には細い袋状の果実をつけるが、わが国では気候の関係上、ごくまれにしか果実をつけない。 園芸植物として流通する本種だが、有毒植物としての側面も強い。植物体全体、特に葉や樹皮、枝には強心成分が含まれる*1ため、食べると嘔吐や目眩、下痢などを起こし、症状が重篤な場合は死に至る。アレキサンダー大王の軍が進駐したとき、このキョウチクトウの枝を焼き肉用の串に用いたことで自軍に多くの死者を出したという例や、わが国でも明治10年の西南戦争で政府軍が枝を橋の代わりに用いて弁当を食べたことで中毒した例が知られている。 ミリアム・アレン・デフォードの短編推理小説「夾竹桃」は本種の毒性を利用したトリックが描写されている。 本種はまた生命力が強い樹種としても知られている。1945年8月6日、広島市は原子爆弾の投下により多数の死者を出し、都市は壊滅状態に陥った。原子爆弾は残留放射能による二次被害をも引き起こし、「広島市には75年の間は草木が生えない」といううわさが流れるほどであった。しかし、そうした中でいち早く花を咲かせたのがキョウチクトウであった。その逸話から、キョウチクトウは「復興のシンボル」として広島県の「県の花」に指定されている。