キイジョウロウホトトギスとは、山野草の一種である。 [添付] 画像出典:東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:ユリ科ホトトギス属 学名:Tricyrtis macranthopsis 原産地:日本 生態:多年草 本州、特に和歌山県に自生し、山地の渓谷などの湿ったところに生え、草丈は40cmから100cmに達する。茎は弓なりに垂れ下がる。葉は披針形で、長さは12㎝になり、基部の両側に耳片があって表面は艶がある。8月から10月にかけて、茎頂や葉腋に釣鐘型の黄色い花を1個ずつ咲かせる。花披片の内側に多数の赤褐色の斑点がある。和名は、上臈(宮廷につかえる貴婦人)を思い起こさせる美しさがあるため。 現在は山野草として切り花や生け花に利用される。ただ、その園芸用途を目当てにした乱獲が相次いだため、自生地が破壊され、現在は絶滅危惧II類 (VU)に指定されている。山に自生しているものや、植物園に植えられている個体やそこから落ちた種子は勝手に持ち帰ると犯罪になるのでやめましょう。
近縁種のジョウロウホトトギス(T. macrantha)は本種と形態がよく似ており、トサジョウロウホトトギスの和名でも知られる。もともとキイジョウロウホトトギスとトサジョウロウホトトギスは草姿がやや違うだけの同種とされており、「牧野日本植物図鑑」でも同種の扱いを受けており、1989年の増補改訂版までは区別されていなかった。牧野はこれら2種に違いがある旨を述べており、学名はこの種であるが、図版はキイジョウロウホトトギスの方を用いていた。2008年の新訂版では新たな画工によるトサジョウロウホトトギスの図が描かれ、記載されている。