オニシバリ(鬼縛り)とは、樹木の一種である。 [添付] 画像出典:東京都薬用植物園冷温室にて筆者撮影 科名:ジンチョウゲ科オニシバリ属 学名:Daphne pseudo-Mezereum 原産地:日本、朝鮮半島 生態:落葉低木 我が国の福島県以西、四国や九州の中部以北の山地に自生が見られ、各地の庭園や植物園に栽植される樹木である。樹高は1m前後である。幹は直立し、樹皮は灰茶色。葉は長さ5~10㎝の先端が尖らずに丸くなる倒披針形で、枝に互生する。 葉には短い葉柄がある。わが国の落葉樹には珍しく、秋に枝先に密集して葉をつけ、夏になると落葉する。その姿で夏を越すため、「ナツボウズ(夏坊主)」の異名も持つ。雌雄異株。 2月中旬~4月上旬頃に、葉腋に黄緑色または黄色の小花を束生状に2~10個咲かせる。花には花弁がなく、4裂した花弁のように見える部分は蕚片の変化したものである。夏に楕円形の小さな液果をつけ、液果は赤く熟す。 本種は有毒植物として知られており、果実は一見するとおいしそうに見えるが、実際に食すると辛みがあって、しかも有毒であるから、食用にしてはいけない。この植物に含まれる毒素は「ダフネトキシン」という成分で、誤食すると嘔吐や下痢、焼けつくような激しい腹痛を引き起こす。大量に摂取すれば、昏睡状態や呼吸困難に陥るため、絶対に試してはいけない。一部地域では花や葉、樹皮を駆虫薬として用いるようだが、素人判断で試してはならない。 和名は樹皮が非常に硬くて丈夫であり、力の強い獰猛な鬼でも縛れるであろうと考えたことから。