オオクログワイとは、中国野菜の一種である。
画像出典:(左)https://botanic.jp/plants-aa/ooguwa.htm 『ボタニックガーデン』の「おおくろぐわい」のページから。/(右)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AF%E3%82%A4 ウィキペディアの「シログワイ」のページから。 科名:カヤツリグサ科ハリイ属 学名:Eleocharis dulcis 原産地:東アジア・熱帯アジア・オセアニア・アフリカ 生態:水生多年草 東アジアないしは熱帯アジア、オーストラリア、アフリカに自然分布する水生雑草のシログワイが中国で栽培化されたもので、わが国への正式名渡来時期は不詳であるが、中国の生物百科事典『本草綱目』が織豊時代に日本に入ってきてからは、栽培して根茎を薬用にしたほか凶作時の救荒作物としていたと推測される。 泥の中を張り巡らされたような地下茎から茎を出し、株となる。茎は中空で全長40㎝から70㎝、葉は退化して鱗片のようになり、茎を抱く。初秋に50㎝程度の花茎を立ち上げ、先端に淡い緑色の花穂をつける。晩秋には地下茎の先端が丸く肥大してさながら我が国のクワイを一回りほど大きくしたような見た目になり、直径2~4㎝程度となる。外皮は黒褐色で、内部は純白色である。中国では「馬蹄」という名称で野菜や製デンプン材料、菓子の原料として利用する。現地の市場には生のもののみならず、皮をむいて水煮にしたものの缶詰が出回る。「クワイ」と名にあるが、わが国のクワイが加熱するとほくほくとした食感になるのに対し、本種はシャキシャキとした梨のような食感である。わが国でも中華料理屋では利用されており、あんかけ焼きそばなどを頼むと、シャキシャキとした食感の芋のような野菜が入っていることがあるが、これこそが本種、すなわちオオクログワイである。
[添付] 画像出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AF%E3%82%A4 19世紀の植物学者・Francisco Manuel Blancoの「Flora de Fillipino」から。 オオクログワイが栽培化される前の水田雑草で、全体的な草姿はオオクログワイとほゞ同一である。草丈はやや大型で1mを超す。花穂は白っぽく、塊茎は直径2cm程度である。こちらも塊茎が医薬品の原料や救荒植物として利用された経歴がある。わが国でも救荒植物として注目されたようだが、現在は水田の雑草として厄介者の扱いを受けるフシがある。