ウバタマ(烏羽玉)とは、サボテンの一種である。 [添付] 画像出典:神代植物公園にて撮影 科名:サボテン科ロフォフォラ属 学名:Lophophora williamsii 原産地:北米 生態:多年草 いわゆる「玉サボテン」の一種で、アメリカからメキシコの砂漠地帯にかけて生息する。わが国ではサボテンや多肉植物を扱う専門店やホームセンター、植物園の温室で見かけることがある。 本種は直径が5㎝~10㎝程になり、子吹きによって群生状態となる。株はミニチュアのカボチャや大福餅を思わせるような見た目で、表面に粉を吹いたような青緑色となり、肉質は柔らかい。 本種はトゲがなく、本来的にトゲの生える場所、いわゆる「棘座」からは白くやわらかな毛を生やす。株が成長して老いると、頂部が白い毛でおおわれ、老人の頭部のような見た目になる。 株が成長してくると、株の頂部に20枚ほどの先端がとがるキクのような花を咲かせる。花弁の色は薄桃色ないしは純白である。 このロフォフォラ属は幻覚性のアルカロイドである「メスカリン」を含んでいる。本種の原産地に在住の先住民は、5千年以上も前から本種を薬用として用いてきた。さらに、各種の宗教的儀式には欠かせない存在でもあったという。それは本種を食することで経験する幻覚によって「神と繋がる」感覚に陥るための儀式であった。現在も向精神薬としての薬用効果が確認されている。 とはいえ、これはあくまでも野生種の話である。園芸店で売られている株を試食しても幻覚を見ることはない。それゆえ、わが国では観賞用として本種を栽培することにも、販売することにも違法性はない。